大企業では「個人利用」から「組織活用」へ移行が加速
2026年4月、東京商工リサーチが発表した生成AIに関する企業向けアンケート調査で、注目すべき結果が明らかになりました。大企業のうち「会社として活用を推進している」企業は36.4%、「部門によっては活用を推進している」企業は22.6%。合わせると、大企業の約6割(59.1%)が全社または部門単位で生成AIの活用を進めていることがわかりました。
これまでは、社員個人が文章作成や情報整理のために生成AIを使うケースが多く見られました。しかし今や、会社や部門として業務に組み込む動きが大企業を中心に広がっています。生成AIは「個人が試すツール」から「組織で使うインフラ」へと位置づけが変わりつつあるのです。
人員配置や業務設計にも影響が出始めている
今回の調査では、生成AIが今後の働き方にどう影響するかについても調べられています。生成AIの活用を推進している企業に「今後5年間で人員構成にどのような影響があるか」を聞いたところ、「既存業務の効率化によって、従業員を配置転換する可能性がある」と答えた企業が28.9%にのぼりました。また、何らかの影響があると回答した企業は53.4%と過半数を超えています。
これは、生成AIの導入が単なる「便利ツールの追加」ではなく、業務のあり方そのものを見直すきっかけになりうることを示しています。中小企業の経営者にとっても、AI活用を「誰かが使えばよい話」ではなく、経営判断として捉え直す必要が出てきているといえるでしょう。
中小企業はまず「小さく始める」ことが現実的
では、まだ生成AIの導入が進んでいない中小企業はどうすればよいでしょうか。いきなり全社で本格導入しようとする必要はありません。まずは日々の業務の中で取り入れやすい作業から試し、効果を確認しながら少しずつ活用範囲を広げていくことが現実的な進め方です。
比較的導入しやすい業務の例
- 社内文書やメール文面のたたき台作成
- 会議メモや商談メモの要約
- 提案資料や報告書の下書き作成
- 問い合わせ対応文の作成
- 業務マニュアルの整理
これらはいずれも、特別なシステム開発や大きな初期投資なしに試せる領域です。小さな業務から始めることで、社内での使い方や注意点を整理しやすくなり、やがて組織全体での活用にもつなげやすくなります。
「組織としてどう使うか」を今のうちに考えておく
大企業が生成AIの組織的な活用を加速させている今、中小企業にとっても「どう使うか」を早めに考えておくことは競争力の維持につながります。一部の社員だけが使う状態から、会社として方針を持って活用する状態へ。その移行を、焦らず着実に進めていくことが重要です。まずは身近な一つの業務から、試してみることをおすすめします。
参照:東京商工リサーチ「『生成AI』大企業の約6割が組織で活用推進 将来的に人員配置・抑制の見直し検討 53.4%」